社宅住まいだった彼女

「私のカントリー」

「私のカントリー」
とか
「アンティーク」
といった、テーマをしぼったものもあり、この世界も、読者の求めるところにより、かなりはっきり分かれているいうのが、第一の発見だ。
た、読むうちに、カーテンなら東リ、リリカーフ、サンゲッ、カーペットならスミノエ、ブラインドならタチカワといった主たるメーカー名が、しだいにインプットされてきた。
商品説明や広告によく出てくるからで、それがすなわち情報となっている。
はじめは、つかみようがなく思えたけれど、(この世界にはこの世界の、知識を得るとっかかりが、随所にちりばめられている)というのが、第二の発見。
ひと頃は、行きたいショップやショールームについて、だいたいの道順を覚えてしまっていたほどで、コイデさんとの間で、
「青山の『械椴ギャラリー』行った?」

「まだなのよ。
『キリムズ。
ジャパン』とまとめて、いつか行かなきやと思ってるんだけど」
などとツーカーで通じたりすると、同好の士と会話している喜びがあった。
しかし、現実には、引っ越しそのものの準備と日常の仕事をこなすのでせいいっぱいで、出かける時間はなかった。
また、私の行きたい店はなぜか青山に集中していて、渋谷経由ならすぐかも知れないけれど、
「若者の街、渋谷を通るのか」
と考えるだけで(この形容からして、年齢的にかなり距離感のあることを示している)、行く前からめげてしまうのだった。